令和6年度4月5日(金)亀田医療大学学生会館4階ミズキホールにて、看護学部看護学科第13期生39名及び大学院看護学研究科6期生10名の入学式が執り行いました。
今年度はご来賓・保護者の皆様にご来場いただき挙行しました。
式では、学長告辞、理事長祝辞、来賓祝辞、入学生からの宣誓などを行いました。
入学許可
学部生39名、大学院生10名の呼名があり、入学許可がされました。
学長告辞
学長告辞 全文
看護学部第13期入学生39名の皆さん、大学院第6期生10名の皆さん、本日はご入学誠におめでとうございます。
今年はコロナ感染症が5類に移行してから初めて、保護者の方々、ご来賓の方々にご参列いただき、入学式を執り行うことができ、教職員一同大変喜ばしく思っております。ご参列いただきました皆様に、心より感謝申し上げます。
さて、学部入学生の皆さんは、今日からいよいよ大学生としての生活が始まります。もう何十年も前のことですが、私が大学に入学した時に、非常にカルチャーショックを受けたことを、今でも鮮明に覚えています。どういうカルチャーショックかと言いますと、「自分が大人として扱われるんだ」、「自分は大人なんだ」という感覚を、大学の空気全体の中に感じたというということです。
皆さんは、18歳で成人となる時代に生まれましたので、選挙権も有し、名実ともに、大学に入った時点で、社会的にはりっぱな成人、大人であるのですが、しかし、本当の意味で大人になるということは、一生かけて追求していく難しい課題です。
いわば皆さんは初心者マークを付けた大人のビギナーであり、大学を卒業した時には、社会人になる皆さんが、本当の意味で大人になっていくためのプロセスを導く場所が大学であるとも言えます。
さて、大人とはどういうことでしょうか?私が大学生になったとき、「大人として扱われる」ということは、まず、自分で選び、自分で選んだことや行動に「責任を持つ」ということと捉えました。皆さんは、看護師や保健師になることを選び、この亀田医療大学を選択しました。病にある人を支援したり、健康な人にはもっと健康になれるよう支援する看護という仕事は大変尊い仕事であり、その仕事を一生の仕事として選んだ自分自身に、まず誇りをもってほしく思います。
さらには、この亀田医療大学に入学したことを誇りに思ってほしく思います。亀田グループの看護教育の歴史は古く、江戸時代に亀田自證氏によって開始された「鉄蕉館」に由来し、以来多くの看護師を始めとする医療者の育成に尽力してきました。特に看護師育成においては、昭和29年の准看護師養成を出発点としすでに70年の歴史を有しています。こうした歴史と実績のもとに、平成24年に開学された亀田医療大学では、看護師の実践力を強化することを主眼とし、平成2年度入学生から保健師教育も開設し、看護師・保健師の教育を行い地域医療に貢献しています。
さらに、この学部教育をより高度化するために、平成31年4月に修士課程を開設し、教育・研究能力を備えた高度な実践家を育成しています。このように、亀田医療大学は常に高い志をもって、看護教育を行ってきました。こうした亀田医療大学を選んだ自分自身に誇りをもってほしく思います。
さて、これから始まる大学生活では、具体的にはどの科目を選択するか、どのクラブに入るかなど、さまざまな小さな選択が積み重ねられていきます。またその先にはどのような看護師になるか、将来に向けての新たな選択が待っています。
「大人になり、自分の選択や行動に責任を持つ」といっても、いつも失敗なく進めるかというと決してそうではないと思います。看護師になる道にも様々な迷いや悩みが生まれることも当然あるでしょう。私自身もそうでした。しかし、そうした悩みや失敗が、経験として積み重なり、さらに自分の選択を確固たるものとしてくれます。大人になるということには、何よりも経験が大切だからです。「大人になること」に向かって、試行錯誤し努力することそのものが、人としての成長とも言えるでしょう。
また、自分で選び、自分で責任をとると言っても、決して周囲の人の手助けを求めないという意味ではありません。人は支え合って初めて生きていける社会的動物です。つまり、他の人の助けなしでは生きていけません。自分に助けが必要だと思ったときを見極め、必要な時には周囲の人に、助けを求めることができるのも、「大人であること」の1つの要件であると思います。
私たち教職員も、皆さん方一人一人をダイヤモンドの原石だと思って、大切に支え、育てていきたいと思っています。卒業生の調査からも、こちらの先生は、親しみやすく、温かく、アットホームな雰囲気で、親身に相談に乗ってくれるなどの評価が多数ありました。どうぞ、悩み困ったときには、遠慮なく先生方に相談に行ってください。
看護は、人を援助することを本質とする専門職の1つです。そのためには様々な知識や技術が必要です。しかし、知識や技術だけではなお不十分です。近代看護の創始者であるナイチンゲールは次のように述べています。「教育の仕事は別として、世の中で看護ほどに、その仕事において《自分が何を為しうるか》が、《自分がどのような人間であるかにかかっている職はほかにない》のです。」と。
「大人になる」ということを通して、自分自身と周りの人を双方大切にして、自分を磨いていっていただきたく思います。
さて、お待たせしましたが、看護学研究科6期生の皆様、ご入学おめでとうございます。いままでのお話も院生の方にも通ずることと思っています。しかし初心者マークを外し、すでに社会で路上走行をされている皆さんには、また少し違った観点からお話させていただきたく思います。
私が大学院の修士課程に入学したときは、学びたい気持ち・意欲がいっぱいでした。特にしばらく臨床経験を積んだのち、学校で学んだことだけでは追いつかないことがたくさん出てきて、それらの経験を整理したいという気持ちがありました。そのため、自分から学びたいという気持ちにあふれていたように思います。そして大学院での学びは、十分それに応えてくれるものでした。学べるということは本当に幸せなことです。学べるということの幸せをしみじみと噛み締めながら、学生生活を送っていただきたいと思います。
学問的内容ばかりでなく、修士での学びは、他の専門領域の様々な経験を持った人たちとの交流が楽しく、そこからも学ぶことがとても多かったです。院入学生の皆さんは、ぜひ、院生の仲間からも多くを学んでいっていただきたいと思います。そこで得た人的ネットワークがまた、修了後にも大変役立つことと思います。
さらに、ここにいる学部新入生の将来像、良きロールモデルともなっていただきたく、よろしくお願いいたします。
簡単ではありますが、以上を持ちまして、学長告辞と致します。
令和6年4月5日
亀田医療大学学長 田中美惠子
理事長祝辞
理事長祝辞 全文
おはようございます。
改めまして、ここにお集まりの学部39名の、13期生の皆さん、そして10名の大学院6期生の皆さん本日は入学誠におめでとうございます。
私は三月末までは学長職も兼任しておりました、本日は学校法人の理事長として少しお話をさせていただきます。法人の名前は鉄蕉館と言いますが、鉄蕉は植物の蘇鉄のことです。大学のキャンパスや病院に植えてあると思います。今日は病院の亀田隆明理事長もお見えですが、幕末の頃、亀田家の先祖の方が長崎で蘭学を学び、この鴨川の地で蘭学塾を開きました。その前庭に大きな蘇鉄があったそうで、それにちなんで学問所を鉄蕉館と命名したとのことです。時代は下って、私共の看護師学校教育は昭和29年、1954年から始まりましたが、亀田医療大学は2012年の開学で、まだ歴史は浅いですが、学部教育だけではなく修士課程大学院に加えて博士課程も視野に入れており、県南随一の看護教育、看護研究施設を目指しております。
ところで、特に学部の皆さんはこれから学ぶ看護学というものをどのように捉えているでしょうか。看護学は理科系・自然科学系でしょうか、それとも人文系でしょうか。日本では歴史的に大学の看護学科は医学部の一学科として創設されたことが多く、私自身もつい最近までは、どちらかと、言えば理科系、自然科学系の学問と思っていました。特に近代では、看護の対象者を理解するためには、人体の解剖や生理学だけではなく病態生理学や疾患のことも知識として求められます。薬理学の知識も看護の実践には重要です。また高度実践看護師を目指して本日入学された大学院生の方には医師に匹敵する深い医学的知識も求められます。その一方で、看護は病気そのものだけではなく患者や患者自身の生活という複雑な現象をも対象にしており、対象を理解するためには、会話や文章による多彩な表現力、感性も重要視されます。本学でも豊かな人間性を養うために多くの人文系や教養科目を配置しています。つまり看護学ではメディカルな面だけではなく、より包括的な社会生活や家族生活を送る人間としての健康の確立・維持を目指して行くことになります。最近DX、デジタルトランスフォーメーションという言葉をよく耳にしますが、看護学とはまさに自然科学と人文科学のトランスフォーメーションだと思っています。
私は心臓病や高血圧を扱う循環器内科の医師としても診療をしており、亀田クリニックでの外来診療は30年近くになります。長い間やっていますと通院患者さんに慢性疾患を持った高齢者の方がどうしても多くなります。85歳、90歳以上の方も数多くいらっしゃいます。このような高齢になると元の心臓病や高血圧だけを診ているわけにはいきません。合併症や併存疾患やそれこそ認知症や老々介護などの家庭環境を含めた包括的な診療が必要になってきます。つい私も含めて若い時は専門に特化した高度医療や先進医療、急性期医療に目が行ってしまいますし、そのような専門性を高めることも必要ではありますが、先程述べたように看護とは一人の患者さんを全人的、長期的なとらえ方をすることも大切だと思います。ぜひ学生の内からこのような視点を養っていただきたいと思います。
皆様は決して看護師・保健師・助産師免許取得や修士号取得だけがゴールではありません。ぜひこれからしっかりと勉学に励み、充実した学園生活を送り患者ファーストの豊かな心を持った評判のよい医療人に成長してください。期待しています。
以上を持ちまして、亀田医療大学に晴れて本日入学されました皆様に向けての祝辞と致します。
令和6年4月5日
学校法人鉄蕉館理事長 橋本裕二
来賓祝辞
入学生宣誓
宣誓 全文
私たち入学生一同は、変化の時代の中でチャレンジ精神を忘れず、日々勉学に励み、亀田医療大学の学生として先輩たちとともに大学の輝かしい伝統を築き、保健・医療の分野で貢献できる品格のある医療人を目指して、日々努力を続けていくことを、ここに誓います。
令和6年4月5日
亀田医療大学看護部看護学科13期生
代表 尾﨑優亜